Fitter, Happier

アメリカ出張に来ている。もう何回目か即座に思い出せないぐらい来ているが、9回目のようである。ここに来ると必ずなる特殊な精神状態に、今もきっちりなっている。帰国するとほとんど忘れてしまう。文章にすることはなかなか難しい。とにかく仕事始まって数日経った頃が一番きついような気がする。今日は2日目。明日あたりが最初の峠じゃないかと思う。こちらでの待遇に大きな不満はない。出張のたびに数年来ずっと一緒の仕事仲間とも、敬意を持って付き合える仲。むしろ自分にはもったいない環境すぎてそれがまたプレッシャーになっている気もする。とにかく、これはやはり自分内の問題であろう。 この心境は行きの飛行機内から地続きのようだ(いや、地面はつながってないけど)。出張に呼ばれ始めてから5年間、往復の飛行機内で過ごした時間も合計すれば相当なもの。自分はTFCのジェリーやブライアン・ウィルソンのように飛行機旅に恐怖感はないが、太平洋を渡るだけで下界の景色が楽しめるわけでもないフライトにはウンザリしてきている。地上を遠く離れた空中の機内で過ごす時間はある意味、極限の体験。つまり、絶対に逃げられない環境で、機長に生命を全面的に預け、狭い座席に縛り付けられながら映画と音楽で退屈をしのぎ、ほしい量より微妙に少ないアルコールと、微妙に多い機内食を与えられる。機内食のメニューはAかBだけ。個々人が自由に選べることはごく限られている。航空会社の職員たちに身も心も依存せざるを得ない状況で、多めの栄養と退屈せずにすむ娯楽を提供され、自由意…

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Something Great From '68

明日から2週間、また米国出張に行く。昨日まであまりそのことを考えないようにしていたが、さすがに出国前日は支度をしないといけない。出張の旅支度は嫌いである。平穏な日常からひっぺがされ、働くだけのために異国にひとり放り出される。そこでなるべく快適に過ごせるように、思いつく限り役に立ちそうな品物を厳選して荷物に詰めるのだが、肝心なものをうっかり忘れて出国したりすることも、たまにある。手持ちの服も、日常生活では良くてもオフィスで着るにはボロすぎるのではないか、というものが多かったりする。あれこれ考えた挙げ句に頭がわーっと混乱しそうになったら、基本中の基本に立ち返る。とにかくパスポートとお金、これさえ忘れなければ、あとはどうにかなる。 前にも書いたことがあるが、仕事のために外国に行くことはプレッシャーである。ホテル暮らしもしんどい。しかし楽しいこともある。昨年はゾンビーズのライブが観られて、当時立ち上げたばかりの当ブログにライブレポートを書いた。ブライアン・ウィルソンのライブが観られた年もある。どちらの公演も出張最終日の夜、すべての任務から解放された最後の晩に、まるでご褒美のように幸せな偶然が重なった。そして信じがたいことに今年は、その両者がジョイントで、今月末から北米ツアーをするというのである。もしかして、これも……と一時は期待したが、今回の出張日程は奇跡に一歩及ばなかった。でも、いいのだ、自分はどちらも別々の機会に観ることができたのだから。 ブライアンとゾンビーズのジョイントツアーのタイトル…

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父と農園とラジオ

サラリーマン生活を40年続けた父、退職後はひたすら趣味に打ち込んでいる。ここ数年は、小さな土地にほとんど独力で作った農園に都内の実家から電車でせっせと通っては、プレハブ小屋に泊まり込んで農作業をしている。5年前に帰国してからの自分は、息子と夏休みに父の農園を訪ねるのが毎年の恒例行事になっている。今年も今週初めに一泊してきた。車で買い出しやもの運びをして、作物の収穫や草取り、トイレ掃除などの手伝いをしつつ、夜は収穫した野菜を鉄板で焼き、3世代の男3人で花火をして、農園内に小さなテントを張って寝る。体力的にはかなりきつい行事である。自宅から農園まで車で片道4時間以上かかるし、テント泊だし、草取りもしたらすっかり背中が痛くなってしまい、帰宅して二日経ってもまだ背中に湿布を貼っている。今年で77歳になった父、ほんとよくやるよ、と感心してしまう。ポールと同い年の父、昨年は突発的ビートルマニアと化して、一緒にポールの来日公演を観に行った。今年はビートルズはひと段落して、ビル・エヴァンスなどジャズに凝っているようだ。いつまでもこんな風に元気でいてほしい。 ゴーヤのカーテンの下にテントを張って寝た 農園ではいつでもNHKのAMラジオが流れていて、それを聴きながら農作業をする。父の育てている植物を見たり収穫をしたりしていたら、チューリップの「心の旅」が聞こえてきた。子供の頃からあらゆる場面で流れてくる歌だけど、やはりいい曲だなあ、と耳を傾ける。続いて甲斐バンドの「裏切りの街角」(これもまた名曲)がか…

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