雑草という草はない

「雑草という草はない。それぞれに名前がある」とは、近年の自分がとても大切にしている、牧野富太郎博士の言葉。その「雑草」の名前をひとつでも多く知りたい。毎年、今の時期は道ばたの植物を観察するのに一番良い季節。可愛く美しい花が日替わりで次々に咲くし、夏になってわさわさと伸びてくるとさすがに少々うんざりしてしまうので、出始めの今のほうが新鮮な興味を持って見られるのである。

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クサノオウとムラサキケマン。好みの環境が似ているのか、揃って咲いているのをよく見かける。

自部屋の棚には「牧野富太郎植物記」が並んでいる。牧野博士の晩年に少年少女向けに編まれた全8巻の本で、各巻の巻頭には亡くなる少し前の牧野博士が編者であるお弟子さんに口述したという文章が載っている。特に第1巻の「牧野富太郎博士のことば―植物はわが友」という文章は本当に素晴らしくて、全編紹介したいぐらいだが、植物の名前について語っている部分を引用させていただく。

植物となかよしの友だちになるためには、まずその植物の名を知ることです。植物にはみなそれぞれ名がつけられています。その名を正しく知ることが植物に近づく第一歩です。あいての名も知らないでなかよしになることはできません。

今朝は、心配事を抱えてうつむき気味に歩いていた。足下の草たちが目に入ってくる。名前を知らなければ単なる緑一色の「雑草」の塊だが、ひとつひとつの名前を知って見分けがつけば友達になれる。中には、くよくよするなよ、と慰めてくれる友達もきっといるだろう。目に入る草の名前がひとつ残らず即座にわかるような牧野博士レベルになれば、目の前にある世界の認識はまったく違ったものになるはずなのである。だから、一日一種類ずつでも調べて、ひとつでも多くの植物の名前を知って、友達になりたい。

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