「California Girls」のコード進行が胸を締め付ける

ビーチ・ボーイズの「California Girls」は、全米各地の女の子について歌っただけの、彼らのヒット曲の中でも最大級に能天気な部類に入りそうに見える。しかし歌詞をよく読むと、アメリカ東海岸、南部、中西部、北部と各地の女子たちを賛美した上で、「彼女たちみんな、カリフォルニアの女の子だったらいいのに」と言うだけ。今から全米くまなく回るから待ってろよガールズ!というパーッと威勢のいい展開にはならない。聞きようによっては切ない祈りのようにも受け取れる。

それ以上に切ないのがそのコーラスのコード進行なのである。ブライアン・ウィルソンの曲だから一筋縄でいかないのは当然として、ギターで追ってみたら意外な場所にマイナーコードがたくさん出てきて、びっくりしたことがあった。
B → C#m7 → A → Bm7 → G → Am7 → B

メジャーとマイナーセブンスが交互に現れる。マイナーだから悲しい、という単純なものでもないが、これをギター一本で弾いてみると、心をぎゅっと締め付けられてしまう。この曲のキーはBだが、4つ目のコードはBm7。普通なら単純にAからBメジャーに戻るところを、マイナーセブンス。ここの切なさというか、陰りの差す感じがちょっと尋常ではない。その後のG → Am7もまた同じで、ハッピーなコーラスのはずなのに、地味にダブルパンチで胸を締め上げてくるのである。自分はハッピー・サッドな音楽がとても好きなのだが、あの能天気そうな「California Girls」にこれほど陰の要素が隠されていたとは、コード進行を解明してみるまで気付かなかった。一見、悩みなど全然なさそうな明るさなのに、内側をよくのぞいてみればひとり切々と祈る姿が見える、だからビーチ・ボーイズが大好きなのだと、あらためて思う。

65年にヒットしたオリジナルバージョンが永遠なのは言うまでもないけど、「In Concert」に入っているライブバージョンも力強くて良い。ブライアン不在で、ブロンディ・チャプリンと、あのラトルズのジョージ役、リッキー・ファターがいる1972~73年のラインナップ。実は自分がこのライブアルバムに出会ったのはだいぶ最近なのだが、2枚組全編にわたってとても熱い最高の演奏。