散歩道の清志郎

春のステイホーム期間中は、毎朝の散歩に息子を連れて行っていた。長すぎた春休みの次は短縮版夏休みになり、また息子と歩く日々が戻ってきた。自分は毎日決まったルーチンを繰り返すのが好きな傾向があって、毎朝の散歩道も2パターンぐらいしかなかったのだが、息子はあれこれバリエーションを開発したがった。息子と自分は性格が正反対ではないかと思うぐらい似ていない。自分みたいにならなくて、息子のためには本当に幸いなことだと思っている。いつものルーチンから外れて変化を求められるのが自分は面倒で仕方なかったが、おかげで近所なのに知らなかった場所をいろいろと開拓できた。そのうちの一つが、清志郎である。 上の写真は、4月下旬に清志郎を初めて見つけたときのもので、こちらではまだ桜が満開の時期だった。背景の木々や草の様子もまだ冬という感じ。自動車整備工場の駐車場に放置されている、昭和からタイムスリップしてきたパープルの廃自動車に描かれた、80年代の清志郎と「愛し合ってるかい?」という定番のセリフ。こういうロックンローラーな清志郎も、もちろん好きだけど、今あまり頻繁には聴かない。自分の心の中に住んでいる清志郎は、自分がまだ生まれたか生まれてなかったかの頃、小林和生、破廉ケンチと3人で心臓をかきむしるようなハードフォークをやっていた清志郎。心のバイブルは、当時書いていた日記をそのまま収録したという「十年ゴム消し」。一人称は「オイラ」ではなく「僕」である。リアルタイムではないけど、タイムレス。リアルタイムで最初の記憶にあ…

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Nina Simone「Revolution」とジョージ

最近よくSpotifyでニーナ・シモンを聴いている。50年代のジャズピアニスト時代の作品や60年代後半の「ニーナとピアノ」は前からよく聴いていたけど、もう少し後の時期、ソウル/ファンクの色が強い作品にはそれほど親しんでなかった。69年の「To Love Somebody」も最近になって初めて聴いた。ビー・ジーズ、ディラン、レナード・コーエンといったロック/フォーク曲のソウルフルなカバーを集めたアルバム。もう凄い。格好良すぎる。どうして今まで聴いてなかった自分。 この中に「Revolution」が入っていて、もちろんビートルズのカバー、と思いきや、これだけはオリジナルのアンサーソング扱いになっている。たしかに歌詞をよく読むとだいぶ違っていて、原曲の問いかけを受けて変革を呼びかける内容になっている。歌もアレンジも本当に力強い、最高のアンサーである。 このニーナ・シモンの「Revolution」では、コーラス終わりの決めの部分で「Day Tripper」の引用っぽいフレーズの後、さらに「Old Brown Shoe」と同じフレーズのギターが入る。ビートルズの曲に対するアンサーなのだから、別のビートルズ曲を引用するのもごく自然なことだが、実は「Old Brown Shoe」に関してはどうも時期的に微妙なのである。上に貼ったライブバージョン、ニーナ・シモン公式の動画ページには演奏時期が「1968年と思われる」と書いてあるのだ。ビートルズが「Old Brown Shoe」を出したの…

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新曲:The Magic Gang「Make Time For Change」

前にデビューアルバムについて記事にしたことがあるマジック・ギャング、先週新曲を出していた。今朝Spotifyを開いたときに初めて気が付いて、さっそく聴いた。のっけからブラスがバーンと炸裂する「Make Time For Change」、とても良い! 映像は全編アニメーションで、曲と同じようにすぱーんと突き抜けたポジティブさ満開で良い。ただ、このアニメに人間はまったく出てこなくて、太陽のもと、植物、昆虫、ミミズ、鳥と連なる生態系がテーマ。裏を返すと、地球上の人間が全滅しても他の生き物はこんなに元気だぜ、という内容にも見えてしまう。この2020年、人間が出てきたら、こんなにのほほんと楽しい映像にはならないだろう。メンバーによると、この曲は「自分のことは自分で守りながら、楽しめることを目一杯楽しもう」という思いを表現したものだという。自分も、庭で元気に育っている植物たちを眺めているときは、この映像みたいに人間界の苦しみを少し忘れて楽しむことができる。今、このあっけらかんと明るい曲を聴いて救われた気持ちがするのは、きっとそういうわけなんだろう。 今年の8月に、マジック・ギャングのニューアルバム「Death Of The Party」が出ることも、自分は今日になって初めて知った。バンドの公式サイトではすでに大々的にアナウンスされていて、グッズ付きCDやアナログの予約注文も始まっていた。曲目リストを見ると「Make Time For Change」はニューアルバムに入らないようなのだけど、…

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