「California Girls」のコード進行が胸を締め付ける

ビーチ・ボーイズの「California Girls」は、全米各地の女の子について歌っただけの、彼らのヒット曲の中でも最大級に能天気な部類に入りそうに見える。しかし歌詞をよく読むと、アメリカ各地の女子達を賛美した上で、「彼女たちみんな、カリフォルニアの女の子だったらいいのに」と言うだけ。今から全米くまなく回るから待ってろよガールズ!というパーッと威勢のいい展開にはならない。聞きようによっては切ない祈りのようにも受け取れる。 それ以上に切ないのがそのコーラスのコード進行なのである。ブライアン・ウィルソンの曲だから一筋縄でいかないのは当然として、ギターで追ってみたら意外な場所にマイナーコードがたくさん出てきて、びっくりしたことがあった。 B → C#m7 → A → Bm7 → G → Am7 → B メジャーとマイナーセブンスが交互に現れる。マイナーだから悲しい、という単純なものでもないが、これをギター一本で弾いてみると、心をぎゅっと締め付けられてしまう。この曲のキーはBだが、4つ目のコードはBm7。普通なら単純にAからBメジャーに戻るところを、マイナーセブンス。ここの切なさというか、陰りの差す感じがちょっと尋常ではない。その後のG → Am7もまた同じで、ハッピーなコーラスのはずなのに、地味にダブルパンチで胸を締め上げてくるのである。自分はハッピー・サッドな音楽がとても好きなのだが、あの能天気そうな「California Girls」にこれほど陰の要素が隠されていたとは、コード進行を解明…

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訳詞:Teenage Fanclub「December」

「12月」「暗殺」という言葉が並ぶこの曲、ジョン・レノンへの歪んだ憧れみたいな感情を歌っているものだと、自分は最近まで長年勘違いしていた。しかし歌詞をよく読むと、12月「に」ではなく12月「を」暗殺したかった、と言っている。何を意図して書かれた歌詞なのか、知りたい気もするけど、知りたくない気もする。きっと意図などないのだろうし、あったとしても関係ない。音楽と自分の一対一の関係以外、本当は何もいらない。弱々しく穏やかな日差しと、きりりと冷えた空気、地上での活動を終えて静かに冬越しの眠りにつく植物たち。真冬になる手前、冷たく憂鬱だけど、穏やかな優しさも感じる12月の空気そのものが、この音楽に流れている気がする。 この機会に 友達に伝えよう 僕の考えを やはり思い直す もう少し考えて 後で言うことにする 彼女は僕のことを気にもかけないけど もし愛してくれるなら死んでもいい 僕の頭にあふれている とりとめのないことが ひとつの考えみたいな形になってきた この機会に 友達に伝えよう 僕の考えを 彼女は僕のことを気にもかけないけど もし愛してくれるなら死んでもいい この計画を何年も心に抱いていた でも今はもう思い出せない 僕は12月を暗殺するつもりだった 12月を暗殺したかったんだ December

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お目覚めのメロディをどうしたらいいのか

先日は、目覚めた途端にホリーズの「兄弟の誓い」が脳内に鳴り響いて困ったので記事をひとつ書いたのだが、昨日の朝は起きたら何の曲だかわからないメロディが鳴っていた。ポールが夢に見たメロディから「イエスタデイ」を生み出し、最初は他人の曲だと思い込んでいたのは有名な話だが、昨日の朝のメロディも、自分には出自がわからないものだった。もちろん自分は全然ポールでもマッカートニーでもないので、もし降って湧いたものだとしても、その曲自体は大したものではない。とてもベタな8分の6拍子の音楽で、とりあえずギターでコードを付けたりして、朝のうちにひとつの曲の形にまとめた。そんなことがあったので、昨日はずっとその謎の曲に取りつかれていた。たまに起きることである。ほんとにどこかで聞いたことが絶対ありそうなベタベタなスローバラード調の曲で、人様に聞かせるようなものではない。昨日のイメージではロッド・スチュワートが歌っていたのだが、今日になって思い出してみるとロッドというよりはスレイドに近いものがあった。 Slade 'Everyday' でも一番似ていると思った「Everyday」を聴き直してみても、コード進行も節回しも別物で、もし仮に世に出したとしてもスレイドに盗作で訴えられることはないだろう。「Everyday」は紛れもない名曲である。ひとり遊びレベルの自分にこんなものは作れない。ディミニッシュやら3度のコードやらをてんこ盛りに盛って、ゴスペルもどきの大げさなもの…

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