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「Help!」の当初のタイトルは「Eight Arms To Hold You」、ではなかった

ビートルズ2作目の映画「Help!」(4人はアイドル)の仮題が「Eight Arms To Hold You」だったのは有名な話。ビートルズ4人で8本の腕があなたを抱きしめる。このあまりスマートとはいえないタイトル、映画の制作側が考えたものだとずっと思っていたけど、自分が持っている2007年発売のリマスターDVDの解説をこないだよく読んだら、これまで自分が何となく認識していたことと違う事実が書かれていた。解説の冒頭に載っている、リチャード・レスター監督の文章によると、「Eight Arms To Hold You」は「A Hard Day's Night」と同様にリンゴのアイディアで、「8本の腕」とは映画に出てくるカイリ教の神像の腕がたくさんあることにちなんでいたという。ビートルズ4人の腕が神様像みたく重なっているイメージかな。 解説に載ってるスチール写真より。実際には10本あるようだが。 さらに「Eight Arms To Hold You」は「Help!」の当初のタイトルですらなく、仮に「Beatles Two」として原案を考えていた段階から、「Help」というタイトルにするつもりだったらしい。ただし、この「Help」にはビックリマークが付いていない。著作権上、同じ題名がすでに登録されていたために映画のタイトルに使えないことがわかり、「Help」は一旦あきらめて別のタイトルを検討することに。その過程で「Eight Arms To Hold You」が浮上したようだ。その仮タイト…

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AMラジオで出会った「And I Love Her」

何度か書いたけど、自分がビートルズの音楽を知ったのは父がFMラジオの特集番組をエアチェックしたテープからだった。そういう番組でかかるのは代表曲や特に人気のある曲に限られる。中学生になる頃にはそのテープに入っていた曲群もさんざん聴き尽くしてしまった。ビートルズが発表した曲は200曲以上。もっとほかの知らない曲も聴きたくてたまらない。家にあったロック系のレコードはS&Gのグレーテストヒッツ1枚だけで、ビートルズは皆無。1枚2000円以上するレコードを自分の小遣いで買うことは全然考えていなかった。もっと手軽な方法があった。ラジオである。 昨年夏、地域のラジオ体操の当番が回ってきたときにうちに来た年代物のラジカセ 毎朝、新聞のラジオ欄でビートルズのかかりそうな番組を隅々までチェックし、ときには本屋でラジオ雑誌を立ち読みしたりして、アンテナを張り巡らせていた(ラジオだけに)。これぞという番組があればテープを用意して父のオーディオセットの横で待機。そのうち、家で使われていないラジカセを見つけて我が物にし、そのラジカセがエアチェックに大活躍した。そうやって、ビートルズの未知の曲を少しずつ知っていった。ある意味、自分にとってはそのひとつひとつが彼らの「新曲」だった。目を皿のようにしてラジオ欄をチェックしては、ビートルズの「新曲」に出会える機会を心待ちにしていた。あれは、とてもいい思い出。 「And I Love Her」をはじめて聴いたのは、AMラジオの番組だった。たしか「Back In T…

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ジョージとインド音楽について、個人的考え

ジョージがビートルズの作品として発表した、インド音楽を大きくフィーチャーした曲は3つある。このうち「Love You To」「Within You, Without You」の2曲では、途中で拍数の違う小節が挟まる変拍子が使われている。どちらも基本は4拍子なので、タブラ奏者はティーンタールという16拍のタール(インド音楽のリズムパターン)で叩いている。4拍子が続く限りそれでリズムは合うのだが、変拍子のところでどうしても16拍単位のタールがずれてしまう。インド音楽に変拍子の概念はないので、タブラは1小節だけ拍数を増減させるような対応ができない。3拍子なのにずっとエイトビートを叩いているようなものだ。自分は中途半端ながらタブラを勉強したことがあるので、ティーンタールを認識できるようになってからは、この「ずれ」を意識せずにこれら2曲を聴けなくなってしまった。 インド音楽の世界には、7拍子とか15拍子とか、果ては9.5拍子なんていう、西洋音楽の尺度から見ると変態としか言いようのない拍数のタールが存在する。こう書くと、プログレみたく変拍子を多用する音楽じゃないのかと思われるかもしれないが、そうではない。「変な拍子」はあっても、変拍子はないのだ。これは、インド音楽を根本的に支配する概念であるタールが、一定の拍数で循環するサイクルで成り立っているから。ひとつの連続した演奏の中で別のタールが一時的にひょっこり現れることは決してない。ビートルズと関わるまではインド古典の厳格な伝統に従って演奏してきただろうイン…

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「Chains」のジョージは声がかすれている

毎日の作業が夜遅くに終わってから布団に入るまでの時間、パソコンの電源を切って部屋の明かりも落とし、レコードを聴くのが最近の習慣。かつてはそんな時間にチューハイをがぶ飲みしていたが、毎晩常習的にアルコールを摂取するのをやめた代わりに、集中して音楽を聴くことが増えた。先日はビートルズの「Please Please Me」をかけた。これこそ何千万回聴いたかというものだが(言い過ぎである)、その晩に聴いたときは「Chains」を歌うジョージの声が少しかすれているのが耳に引っかかった。ジョージのガラガラ声といえば1974年の「Dark Horse」で、多忙なスケジュールと私生活トラブルの中で制作されたために荒れた声で歌わざるを得なかったのだが、「Chains」を歌うジョージもわりとハスキーな声なのだ。 Chains (Remastered 2009) このアルバムでジョージがリードヴォーカルを取るもうひとつの曲、「Do You Want To Know A Secret」では澄んだ声で歌っている。アルバムに収録されている14曲のうち10曲が1963年2月11日、たった1日のセッションで録音されたことは周知のとおり。アルバムのB面ラストを飾る「Twist And Shout」は録音順も最後で、ジョンが喉を潰しながら渾身のシャウトを決めた。ジョージの喉に疲れがうかがえる「Chains」も最後のほうに録音されたのかな、とおなじみのバイブル「The Complete Beatles Recording …

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「Oh! Darling」のベースを弾いているのは誰?

アビー・ロード50周年記念盤は聴くたびに、ああっ、こういうことだったのか!という発見があって、自分がこのアルバムについていかに知らなかったか、あるいは関心が薄かったかを思い知る。この記事で書きたいのは、ジョージがベーシストとして果たした役割である。前にも書いたように、ジョン不在で制作が進められた時期があって、3人でレコーディングした「Maxwell's Silver Hammer」と「Golden Slumbers」ではポールがピアノを弾き歌い、ジョージがベースを弾いている。「Maxwell」でのベースはかなり巧みな演奏で、フレーズの端々にユーモアを利かせる余裕もある。これまで、ベーシストとしてのジョージをあまり認識していなくて、全ジ連ギター弾きとしては不覚であった。ジョージのベースをよく聴くと、ポールのスタイルと似ているけどやはり少し違うことをやっていて、面白いのである。 Maxwell's Silver Hammer (Take 12) このTake 12の終わりでも、3人の親しげなやり取りが聞ける。ポールが「今のはなかなか良かったな」と演奏を振り返ると、ジョージが「ダメなところもあったけどね」と混ぜっ返す。ポールが笑うと、リンゴの声で「George Harrison is resting his arm」というセリフが聞こえる。「ジョージ・ハリスン様が腕を休めておられる」という感じか。たぶん、リラックスしたジョージの様子が王様っぽく見えたのだろう。続いてポ…

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アビー・ロードB面メドレーについて、いまさら知った事実

アビー・ロード50周年記念盤、楽しんでいる。ジャイルズ・マーティンのリミックスはまだそれほど聴き込んでいなくて、やはりオリジナルのほうがいいなあと思う曲もあるけど、コーラスの美しさが際立つ演出がされたものは気持ちよく聴ける。アウトテイク集で自分が一番、わあ、こんなだったのか、と興味を引かれたのは、B面メドレーの「Sun King~Mean Mr. Mustard」「Polythene Pam~She Came In Through The Bathroom Window」「Golden Slumbers~Carry That Weight」の3セクションがそれぞれ、基礎のレコーディング時からつなげて演奏されていたこと。もちろん、昔から穴があくほど読んでいるはずの「レコーディング・セッションズ」の本には、そうやってレコーディングされたことがはっきりと書かれているのだが、自分の頭には全然入っていなかった。どの曲もバラバラに録音して、後から滑らかにつながるように編集したのだろうと、何となくずっと思っていた。耳で聴いて、ああ、そうやって最初からメドレーで演奏していたのか!とようやく納得したのだ。 特に「Sun King」と「Mean Mr. Mustard」は曲調もテンポも全然違うし、ドラムのサウンドもがらっと変わる。「Sun King」では柔らかいマレットで叩いているような優しいくぐもった音なのに、「Mean Mr. Mustard」はビシバシ叩き付けるハードな音。しかし確かに、「Sun King…

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